地面に最も近く、常に外気と湿気にさらされているのが床下ですが、その床下の断熱は、
建物や人間にとって大切なポイントです。
建物の一階床からの熱損失を防ぐ方法として、床断熱と基礎断熱の二つがあります。
住宅金融支援機構の調査では、断熱地域区分Ⅰ地域(北海道等)で35.5%、
温暖地の地域で6.4%が基礎断熱工法を採用しています。
基礎断にしないより、したほうが良いのは当然ですが、寒冷地対応の基礎断熱が、
寒冷地で35%しか普及していないことから、温暖な瀬戸内では、オーバースペック
(過剰品質)ではないでしょうか?
【1】 床断熱とは・・・
建物の一階床下の全面に断熱材を取り付けて、外部の温度(熱気、冷気)の影響を
受けないようにする工法で、日本の住宅の大部分は床断熱です。
床下の風通しを良くするために床下換気口を設置します。
この工法は、断熱材が自重で下がり床材と断熱材の間に隙間が生じ、そこに冷気が
侵入して、床材下部が冷やされ、充分な換気量を確保しないと、寒冷地では結露や
カビが発生することがあります。
● 従来の 床断熱で気密化を図ろうとすると、例えば
*床から貫通する給配水管等
*床下点検口の気密処理
*ユニットバス周りの気密処理
*床の間仕切り間の気流止め先張りシート
*玄関の土間部分の周囲の土台回りに気密処理
など、特別に気密処理する箇所が増え、それだけ施工ミスの可能性も高くなります。
【2】 基礎断熱・・・
1 床下に断熱材を施工せず、建物の外周に面した基礎立ち上がりに板状の断熱材
を施工し,床下換気口を設けない工法です。
この技術は床断熱に替わる断熱技術として外国で生まれ、北海道の住宅で試行、
検証され、昭和50年代に寒冷地の汎用技術として確立しました。
・・・北海道立北方建築総合研究所(旧・北海道立寒地住宅都市研究所)
床断熱は、床下の温湿度は床下換気口によって外部環境に影響されるが、
基礎断熱は床下換気口がなく、密閉するのでいので外気の影響を受けず、
室内環境の影響を受けます。
● 従って次のようなメリットがあります
*外周壁の布基礎部分の気密化を意識するだけで気密施工が容易に出来るので、
断熱気密性能を安定的に確保しやすい
*基礎と土間のコンクリートは室温や地熱の蓄熱層として使えるので、省エネルギ―
効果と室温の安定に効果がある
(基礎内断熱より基礎外断熱のほうが、熱容量の大きい蓄熱層です )
夏は外気より低い温度の地熱により、床はヒンヤリ感があり、冬は蓄熱のより暖かくなる。
*床下空間は室内環境に近いため、冬季、床面の冷たさがやわらぐ
*床下換気口が無いので、外からの湿気を取り込まず、床下結露,木材腐朽の防止に効果がある
*床下を収納庫などに利用できる。
基礎断熱と床断熱の違いでもう1つ基礎断熱の場合は基礎上の土台の一番上まで断熱材を張り上
げれば熱橋(ヒートブリッジ)がほとんどなくなります。
基礎断熱の場合はお引きもしくは根太の箇所は断熱材が施工できません。
高気密高断熱の住宅を熟知していない人がよく勘違いするのは木材は断熱材だと思い込んでいます。
木材の熱伝導率は檜や杉では0.12w/m・kです。基礎や床の標準的な断熱材の
スタイロホームで0.028w/m・kです。
数字が少ないほど熱が伝わりにくく断熱性能が上です。木材は断熱材より4倍以上熱を伝えます。
言い換えれば床断熱の場合、お引きや根太の箇所は無断熱に近い状態です。
以上の理由で当社では基礎断熱を採用しています。